「君の名は。」が絶賛された2016年
もう一つのアニメ映画が
11月上映後からじわじわ話題となった
「この世界の片隅に」
時代設定が太平洋戦争
場所は広島そして
東洋一と言われた軍港があった呉が舞台
しかしこれまであった戦争を題材にしたものとは違う
物がなく、いつ爆弾が落ちてくるかもしれない非常時でも
人々が工夫しながら日々の小さな幸せを見つけようと
生きていることが描かれている
映画化に動き出してから実に6年かけて完成
映画の評判がすこぶる良く
様々なメディアで称賛の声が上がっていたが
映画製作に際してクラウドファンディングを利用した点でも
非常に注目を浴びた作品
クラウドファンディングで資金を募り
国内映画では過去最高額が集まったという
集まりすぎて募集を一時ストップするほどに
そんな映画をぜひ観たいと思ったが
劇場は常に満員だという
渋谷のユーロスペースで平日朝一番に行ったのだが
すでにフロアは人でいっぱい
そんなに大きくないシアターなので
この回に入れるかなと不安になったが
なんとかチケットは確保
中に入ったら空いている席を見つけるのが大変で
一人だったのでなんとか座れた
劇場によっては今時珍しい立ち見もあったというから
人気のほどが伺える
アニメ映画にも関わらず年配の方も多く
また戦時中というずいぶん昔の話なので若い人もたくさん
中には外国の方もいて注目度の高さがわかる
ストーリーは絵が大好きな少女すずが
父母、祖母、妹に囲まれて育ちやがて呉へ嫁いでいく
夫と夫の家族と暮らしは試行錯誤で
絵を描くことしかできないすずは
生活にはあまり役に立たず
嫁いだ義姉親子が戻ってきてさらに居心地が悪くなるが
それでも自分なりに工夫して生活を支え
少しづつ家族の糸を紡ぎ合わせていくが
戦況はますます悪化していき
そして・・・
自分の居場所を見い出せくなって
失意のどん底に突き落とされたすずも
最後には大切なものを失くしてもここで生きていくと
前向きなる姿が胸に染み入る
物語は戦時中という重さはあるが
全体的にほのぼのとした展開で
フッと笑える場面もあったり
それは主人公すずがそんな雰囲気を醸し出し
声を担当した「あまちゃん」の「のん」(業界の事情で改名したのか?)が
とてもいい味を出している
描き出されている街並みや暮らし、方言などが
実に丁寧に描かれ
よくここまで入念に取材をされたと感服
原作は原爆投下後の広島の話を描いた「夕凪の街 桜の国」の
こうの史代氏
監督は「マイマイ新子と千年の魔法」の片渕須直氏
失礼ながらどちらも前作品を拝見していなかったが
この映画を機会に原作そして監督の作品にも触れてみたいと思った